2013年4月1日月曜日

#18 Berlin(1)

ベルリンにやってまいりました。目的はベルリン国際映画祭。街には至るところでポスターが貼ってあります。全体が映画祭ムードです。
初日の昼はPrenzlauer Berg(プレンツラウアー・ベルク)地区にある「Naan」という店へ。チキンカレーにサラダ、コーラが付いて5ユーロ。このインド料理屋の近くにはカフェや古着屋などが建ち並び、ぶらぶらするにはちょうど良いストリートでした。なんといってもカレーは落ち着きます。
気になる映画館もありました。ベルリンではしばしば名画座のような映画館が見られます。若い観客も多く、映画ファンを育てる土壌が培われている印象を受けました。「KINO=映画館」というのにも段々頭が慣れてきた頃です。

今回のベルリン滞在、泊まった家が素晴らしく帰ってからも料理をしたりして過ごしていました。部屋も良い雰囲気でした。
2月上旬ということもあり、雪は一向に降り止みませんでした。ヘルシンキに次ぐ厳しい寒さでした。でもこういう時だからこそ映画館に足を運ぶのは最適だと思います。この日は映画祭前日だった為、本屋巡りをしました。Charlottenburg(シャルロッテンブルグ)地区にある「Bücherbogen」(ビャーヒャーボーゲン)という店から始めます。
この本屋は高架下に位置していて、電車が通るたびに「ガタンゴトン」と音がします。ラインナップはアート、建築、映画などに特化しているようでした。映画祭期間中ということもあり、映画本が充実していて装丁が素晴らしい本も山ほどあったので一件目から当たりの本屋でした。
この本に囲まれている雰囲気がたまらない空間です。2件目は雑誌の豊富さで有名な「Do You Read Me?」へ。この店名かなり気に入ってます。
さりげなく日本の雑誌が混じっていたりとインターナショナルな本屋です。この棚はメンズファッションで埋めつくされています。2000年に入ってから急激に増えている印象です。他にもHamburger Bahnhof(ハンブルガー・バーンホフ)やKW(カーヴェー)などの美術館内にあるミュージアムショップや映画館内にある本屋など様々なタイプを覗いてまいりました。最後に本のある風景で締めたいと思います。次回はベルリン映画祭を中心にご紹介します。






2013年3月24日日曜日

#17 Goteborg(2)

引き続きヨーテボリ映画祭の報告です。本映画祭では何百本の作品の上映は勿論のこと北欧含む世界中の映画業界交流の機会も至るところに設けられていました。この写真はNordic Film Marketと呼ばれる北欧映画業界のパーティの様子です。テーブルに並べられたワインがあっという間になくなったのは言うまでもありません。とにかく色々な職種の方との会話を楽しめました。
次の日の朝はオールドシティを軽く散歩しながら会場へと向かいました。とにかくこの日は気持ちの良い天気でした。ワゴンの魚屋はデンマークでもよく見られる光景です。
天気とは言ってもさすがヨーテボリ、川には氷が張っています。
橋を渡って会場のある中心部に近いところを目指します。途中で花屋と雑貨屋がミックスしたお店を見つけたので、中をちらっと見てみました。
鏡の奥に見えるのは一見トリックアートかと思いますが、広大な倉庫が奥に広がっています。倉庫の先端だけリノベーションしているという、とてもユニークな配置の店でした。
地下もあるみたいなので、入ってみました。
そこにはなんとカフェが存在していました。コーヒー豆ががっつりと積んであります。かなり広い店で奥はまた違う雰囲気でした。
映画祭の時に悩むのは観たい作品が被ってしまった時です。この日は『ガンモ』や『ミスターロンリー』等で有名なハーモニー・コリンの新作『Spring Breakers』とフィンランドの監督アク・ロウヒミエスの新作『8-Ball』の時間が重なってしまいました。
未だに『Spring Breakes』は鑑賞出来ておりませんが、どちらも優れた作品だろうと思います。結果選んだ『8-Ball』はバイオレンスな描写が目立つ作品ではありますが、刑務所帰りの元夫から子供を守ろうとするヒロインの心の葛藤を見事に捉えていました。夫も夫で今時の映画では稀に見る悪党ぶりで、この二人の追いかけっこにはハラハラさせられます。
この映画がヨーテボリの映画納めでした。ここから次はベルリンへ向かいます。その距離なんと鉄道で12時間。途中は船にも乗りました。長い旅路です。






2013年3月7日木曜日

#16 Goteborg(1)

着いた時間は夜でしたが、バーへ繰り出しました。いわゆる90sのUKロックがかかるようなイングリッシュ・パブで店の中は地元の若者で賑わっています。スウェーデンでよく飲んだビールはFALCONという銘柄でした。いわゆるチープなビールです。その日はぐっすり眠りました。


次の日の朝には映画祭に備えしっかり栄養をつけようと思い、「Egg & Milk」という朝ごはん兼ブランチの店に入りました。開店時間は7時から15時とまさに朝のシフトです。
50sダイナー風の内装は自分好みです。オムレツとヨーグルトとベーグル、更にオレンジジュースとコーヒーというこれぞ朝ごはんというメニューを平らげ映画祭へ向かいました。


会場への道の途中には昨日のパブにも近いオールドタウンと呼ばれる旧市街があります。
2月上旬のヨーテボリは確かに寒かったですが、散歩するには気持ちの良い街でもありました。寒さはフィンランドで鍛えられた気がします。あと大事なことはたくさん食べることだと実感しています。食べて蓄える、とてもシンプルですが。
この日は私にとっての映画祭初日だったわけで、映画業界向けの登録をしに行きます。レセプションやラウンジ、ビデオライブラリーはこの建物の中にあります。格式のある劇場の為、少し緊張しつつ中に入りました。
ヨーテボリ映画祭は街全体を使って催されます。このStora Teaternも一つの会場です。今回は全ての会場は回りきれませんでしたが、この映画祭では色々な劇場を回るというのも
一つの魅力だと思います。この日はStora Teatrenで一つ注目している作品があった為、上映時間までビデオライブラリーに籠りました。その作品というのがこちらです。



「Final Cut :Ladies And Gentlemen」この作品は過去の作品のコラージュで出来ています。ホームページでは100パーセントリサイクル映画などと紹介されていて、まずアイデアがユニークです。90分ほどの映画でしたが、ほとんど飽きることなく過去の傑作のコラージュを楽しむことが出来ました。会場では笑いが絶えず、笑いのツボが人それぞれでその様子を見るのも含め映画好きにはたまらない経験でした。監督はPálfi György(パールフィ・ジョルジュ)、ハンガリーの監督です。彼の過去の作品で多くの人に知られているのは「タクシデルミア〜ある剥製師の遺言〜」があり、日本でも公開されています。ヨーテボリ映画祭初日はとても良い出だしでした。


2013年2月26日火曜日

#15 Oslo - Göteborg

オスロからヨーテボリの道のりは電車で大体4時間ほど。今回は写真でその雰囲気を感じ取って頂けたらと思います。この区間の車窓からは森や湖を眺めることが出来ます。冬でも天気の良い日には湖も透明感があり、森とのコントラストが素晴らしいです。













2013年2月24日日曜日

#14 Oslo(2)

オスロの街から少し遠く離れたところで道に迷ってしまいました。車とマンションと海辺があるだけで、中々人気のない場所でした。下の写真のような場所です。目の前を歩くマダムを見つけてとにかく道に迷ってしまったことを伝えました。そこから1,2kmは歩いたでしょうか。マダムはバス停まで連れていってくれました。彼女自身も知らない土地だったそうで、とにかく色々な人に行き方を聞いてくれたのです。途中で何度か自分で探してみるとも言ってみたのですが、せっかく日本から来たんだから絶対私が連れていくわと言わんばかりに目的地まで進めてくれました。オスロは極寒でしたが、ハートは暖かかったです。
Henie Onstadまで行くバスに乗り、約20分。最寄りのバス停に着きました。目の前にこんな家が建っていたので、思わず一枚。
これからの道のりも面白い建築が見れそうだと淡い期待を抱きながら、道を進めていきます。遂にHenie Onstadの文字が。
中に入っていみると、そこは老人センターでした。確かにSENIORの文字がはっきり刻まれていますね。勢い余りました。そこから30秒のところにKunstsenterの入り口が見えました。
途中の道は絶景です。

そして遂に辿り着きました。広大な敷地です。
内側から外を眺めるとこんな感じです。ベストな交通手段はマイカーか観光バスですね。
最初に見た展示「lære for livet」は生きる為に学ぶというテーマです。子供たちの率直な意見やアートに見える授業風景、子供達のひたむきな姿にはとても感銘を受けました。今回の旅では友人の親戚や3,4歳の子供と一緒に遊ぶシーンが何回かありました。日本語が通じなかったりもするので、100パーセントのボディランゲージ。これは新鮮な体験でした。さて「生きる為に学ぶ」展ですが、イランの映画監督アッバス・キアロスタミの映像も展示されています。このドキュメンタリー作品の主題は「宿題」、宿題をやってこなかった子供達に何故そうしたかを聞きます。彼らの主張は時にユニークで時にはっきりと彼らの道理を説明しています。
教室をそのまま表現したインスタレーションなども。もはや教室なのでわざわざインスタレーションと呼ぶのもわざとらしい気もしますが。次の展示へ向かいます。

このアートセンターは地上1階と地下1階から構成されており、まずは地上を見てから地下へ向かいました。
「ビートルズにここで演奏してほしい!」とはなんとも意味深なタイトルです。Kurt Schwitters(クルト・シュヴィッタース)は20世紀前半に起こった芸術運動ダダイズムの代表的な作家です。この文字情報から既に期待が膨らみます。まずはビートルズ方面から。
Henie Onstadの歴史は1968年から始まります。HenieとOnstadの名前は創設者であるSonja HenieとNiels Onstad夫妻のそれぞれの苗字から取っています。Sonja Henieの生い立ちはとてもユニークで彼女はノルウェーのアイススケート選手、オリンピック代表でした。金メダルを3回も獲得した国民的スターであり、その頃全盛のハリウッドでは彼女のスケートショーを撮影したと言われています。彼女は夫のNielsと共にアートコレクターでもあり、特に前衛芸術集団Fluxus(フルクサス)のコレクションに力を注いでいました。この集団はオノヨーコも参加していることで有名です。このセンターでは過去にJohn Cage(ジョン・ケージ)のパフォーマンスを催したり、コレクションの収蔵と共に積極的にダンスや音楽などのパフォーマンスの紹介を行ってきました。
写真の様にペインティングの前で、バレエを踊るなどの催しもあったようです。今回の「ビートルズ〜」展はこういった彼らがセンターで催してきた過去のパファーマンスの軌跡を辿る展覧会だったのです。歴史にもしもは無いですが、もしビートルズが活動を続けていたらそれはあり得たかもしれません。実はこの展示にすっかり心を奪われてしまい、バスの時間ぎりぎりまでそこに釘付けでした。その為、クルト・シュヴィッタースの展示はささっと見てセンターでの滞在はをタイムイアウトとなりました。かなり惜しいです。とにかく時間が足りなかったです。街に帰るとそこは夕方でした。
この建物を見るのにちょうど良い時間となっていました。オスロのオペラハウスです。中央の滑り台のような場所は夏場は人がたくさん座っていたり賑やかになるそうです。ロビーのデザインにはデンマークのアーティストOlafur Eliasson(オラファー・エリアソン)が関わっており、内装も訪問客の視覚を魅了するような仕掛けが至る所に設置してありました。オペラを鑑賞する更なる楽しみをこの建物は実現しています。以下、内装です。このの壁がオラファーによるものです。角度によって見え方が全く違います。
この後は代々木公園近くにも支店があるFuglen(フグレン)の本店に行ってまいりました。
こちらでコーヒーを一杯。アンティークな雰囲気がたまりません。日本に帰ってもまたちょくちょく行きたいカフェです。
というわけで、夜になり簡単に夕飯を済ませ明日の鉄道の旅に備えました。次の目的地はヨーテボリ映画祭です。